「うう・・・・・・・ん。」


少し、けだるげな声を出して、アスカが寝返りを打つ。
僕の、右腕を枕にして、安心しきった表情で、眠るアスカ。








部屋の中には、カーテン越しに、ぼんやり明るい月の光が射し込む。
ベッドの横の床には脱ぎ散らかされた、アスカと僕の、服と下着。




時計を見る。
針は、午前2時を指している。
しん、と静まり返った部屋の中で、アスカの寝息だけが、穏やかに空気を震わせている。














【 月明かりの中で 】

written by ぽてきち













アスカの寝顔を、見つめてみる。
無防備で、あどけない、アスカの寝顔。
時折、何かをつぶやくように口をふみふみと動かしている。






そっ、とアスカの髪を梳いてみる。
細く、やわらかなその髪は、僕の指の間をさらさらと、通り抜けていく。
淡い月明かりに照らされて、アスカの髪が、きらきらと輝く。






「んん・・・・・・・。」


再び、アスカが寝返りを打った。
と、僕に背を向けるような形になる。
僕は、何だかさみしくなって、アスカを後ろからぎゅっ、と抱きしめる。


驚くほど華奢な、アスカのからだ。
ちょっとでも力を入れたら、折れてしまいそうなくらい、細い。






「・・・・・ん・・・・・、シンジ?」
「あ、ごめん・・・・・、起こしちゃったね。」
「あたし、寝ちゃってたんだね・・・・・、何時の間に。」
「うん。すごく気持ちよさそうに眠ってたよ・・・。」
「シンジは、ずっと、起きてたの?」
「うん。・・・・・アスカの寝顔、見てた。」
「やだ・・・・・、はずかしい・・・・・よ。」


僕の方に向き直って、一通り会話を交わした後。
頬を桜色に染めて、うつむくアスカ。
とん、と僕の胸に顔を押し付けて来る。


「バカ・・・・・シンジ。」
「ん?」
「あたしの寝顔、どうだった?」
「え・・・・・、ああ、その・・・・・、かわいかった・・・よ。」
「ふふ・・・・・、そっか。」


思わぬアスカの質問に、今度は僕が、頬を真っ赤にする番となった。
照れ隠しと言っては何だけど、僕は、返事の代わりに、アスカを抱きしめ直した。










長い間、アスカと僕は無言のままで、抱擁を楽しんでいた。
ゆったりとした、時間の流れ。
心地の良い、沈黙。






「ねえ、シンジ?」


最初に沈黙を破ったのは、アスカだった。


「ん?」
「・・・・・・・もう一回・・・・・・・、したい・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・アスカ、明日は早いんじゃ、なかったの?」
「だって、シンジが起こすんだもん・・・・・。それに・・・・・。」
「それに?」
「もう一回・・・・・・・・、気持ちよく・・・・・・・、なりたいのよ。シンジと・・・・・いっしょに。」


あまりにもアスカらしい、その求めに、僕は思わず、顔をほころばせる。
僕だって、明日は早起きしなきゃ、ならないんだけれどな・・。


「・・・・・だめ?」


僕の瞳を覗き込むように、おねだりする、アスカ。
正直言って僕は、このおねだり攻撃に、弱い。


「バカシンジ、応えなさいよ・・・・・・・んっ!」


アスカの言葉を遮るように、くちびるを奪う。
そのまま、僕は、ゆっくりとアスカに覆い被さっていった。








月明かりの射し込む、寝室で。
シーツの衣擦れの音と、ふたりの吐息が、部屋の空気を震わせる。








月明かりの、中で。















* fin *



☆あとがき☆

えーと、ぽてきちと申します。こんにちは。
今回、突発的にらぶらぶ&少しえっちな話を書きたくなり、このような話が出来上がりました。
でも、なーぜーか、シンジ視点で書いてしまいました。(笑)
うーん、男のひとって、こういう状況では、どんなことを考えるのでしょうかねぇ・・・?
話的には、内容は、ありませんでしたね。(爆)
それでは、失礼しました。m(_ _)m



・書いた日:98年8月12日







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